英語聖書の簡単な歴史
聖書はもともとヘブライ語、アラム語、ギリシャ語で書かれました。
4世紀:4世紀に、聖ジェローム(ヒエロニムス)は聖書をラテン語に翻訳しました。それはウルガタと呼ばれていますが、それは「共通」または「すべての人々の」という意味です。
10世紀:10世紀には、新約聖書の一部の記述が英語に翻訳されました。
14世紀:14世紀には、オックスフォード大学の神学、哲学の教授ジョン・ウィクリフが、聖書全体をラテン語から英語に翻訳しました。
1525年から-1534年:ウィリアム・ティンダール (1494-1546) が 、元々の言語から英語に初めて聖書を翻訳しました。
1611年:ジェームズ王が1603年に政権を握ったとき、彼は今までの聖書の版の文体と教義に矛盾があったことから聖書訳の改訂を命じました。これがジェームス王欽定訳聖書、キングジェームズ訳です。(KJV) 1611版とも呼ばれ今日でも権威のある英訳です。
19世紀から今日まで: このキングジェームズ訳から現代英語への改訳がされた中に、RV改訂版(1885)、RSV改訂標準版(1952)、NRSV新改訂標準版(1989)、イングリッシュスタンダードバージョンESV英語標準版(2001)が含まれています。
今日、流通している英語の聖書の中には、リビングバイブル(1971)*もあります。これは、1901年のアメリカ標準版に基づいて現代英語に訳されたものです。福音聖書グッドニュースバイブル(1976)**は、アメリカ聖書協会に出版された現代語の読みやすい翻訳。そして最も広く読まれているのは、NIV新国際版(1978)***です。これは、キングジェームズ版聖書の直訳とグッドニュースバイブル福音聖書をもっと丁寧な文にした中道を行く英訳です。
*リビングバイブル日本語版:いのちのことば社刊行
**GNVグッドニュースバイブル・新共同訳聖書和英対照聖書:共同訳聖書実行委員会刊行
***NIV新国際版聖書:和英対訳 日本聖書協会刊行
古典作家にインスピレーションを与えた重要な英語聖書訳の紹介
Wycliffe’s Bibleウィクリフの聖書
歴史家によると、ウィクリフは最初ではありませんでしたが、当時確かに最も影響力のある聖書翻訳者でした。
ウィクリフと仲間の司祭たちにとっては、聖書を慣用的な英語に翻訳して、すべての人が男も女も読むということが最優先されたのです。
カトリック教会に異端者として非難されたため、彼らの聖書は写本の形で広く流通しました。
ウィクリフ訳聖書は当時広く行き届いて影響力がありましたが、現代の読者にはほとんど理解できない文体で書かれています。
The original English: 例:ウィクリフ訳(とNIV訳)
マタイによる福音書5:4:悲しむ人々は、幸いである、その人たちは慰められる。
マタイによる福音書5:5: 柔和な人々は、幸いである。その人たちは地を受け継ぐ。
マタイによる福音7:1 : 人を裁くな。あなたがたも裁かれないようにするためである。
この変換をして最初に訳の評で出てきた言葉は:「言葉遣い」、「熱意」、「説得」でした。
Tyndale’s Bibleティンダルの聖書
ウィリアム・ティンダル(1494-1546)は、聖書を元の言語から英語に翻訳した最初の人でした。
ティンダルは1515年にオックスフォード大学で修士号を取得しました。
ヘブライ語やギリシャ語を含む8つの言語に精通し、彼の目標は、「鋤で耕す男の子」でさえ読むことができる聖書を翻訳することでした。
英語の聖書を翻訳したことで1536年に死刑に処せられた彼の最後の言葉は「主よ、イギリスの王の目を開いでください。」でした。
1539年:ティンダルの死から3年後の1539年、ヘンリー8世はティンダル訳を含む「大聖書」を認可しました。マイルス・カヴァーデールが編纂したいわゆる「大聖書」(その途方もない大きさのために「大」がついている) は、公共の使用のために承認された最初の英語聖書です。
ティンダル訳は、現代の読者にもう少し分かりやすくなっています:
マタイによる福音書5:4:悲しむ人々は、幸いである、その人たちは慰められる。
マタイによる福音5:5: 柔和な人々は、幸いである、その人たちは地を受け継ぐ。
マタイによる福音7:1: 人を裁くな。あなたがたも裁かれないようにするためである。
この変換をして最初に訳の評で出てきた言葉と熟語は:「肩がこる」、「食べ、飲み、陽気になる」、「諸刃の剣」でした。
ジュネーブ聖書
1560年に発行されたジュネーブ聖書は、携帯しやすいサイズなので、当時非常に人気がありました。
それは、カトリックの女王メアリーの治世の間 迫害から逃れた保守的なプロテスタント学者によってジュネーブで作られました。
その簡明さ、直接性、そして正確性から、シェイクスピアをはじめエリザベス朝の詩人や作家が読む聖書となりました。
King James’ Bible (1611) ジェームズ王欽定聖書 (1611年)
ジェームズ王が1603年に政権を握ったとき、彼は今までの聖書の版の文体と教義に矛盾があったことから聖書訳の改訂を命じました。
今では英語の散文の見本として読者に愛されている欽定訳ですが、実は初めに出版されたときには広く愛されていたわけではありませんでした。批判のやり玉にあがったのでした。
オックスフォード大学の著名な学者であるアリスター・マクグラスは、「欽定訳がなければ、『失楽園』も、『天路歴程』も、ヘンデルの『メサイヤ』もなく、黒人霊歌も生まれなかったし、南北戦争のゲティスバーグの戦いもなかったでしょう」と指摘しています。
参考文献:
マレス、スタンリー、ジェフリー・マッケイイン 『神によって造られた:最初に聖書の英語の翻訳に現れる単語やフレーズ』ニューヨーク : W.W. ノートン、2003年
ダニエル ディビッド『英語の聖書:その歴史と影響』イェール大学出版局(2003年)